【天声人語】リチウムイオン電池の力 2019年10月10日
19世紀の終わり、すでに電気自動車はロンドンのまちを走っていた。乗合馬車に代わる電気タクシーで、その音の特徴から「ハチドリ」と呼ばれた。パリやニューヨークでも人気だったと『RE:THINK(リシンク)』(スティーブン・プール著)にある▼騒音が小さいこともあり期待は大きかったが、ガソリン車に敗れる。大規模な油田が発見されてガソリン価格が下がったのが一因だ。当時の電池では、長距離を走るのにも限界があった▼それから100年余り。現在の電気自動車の隆盛を可能にしたのが、リチウムイオン電池である。携帯電話、パソコンなど現代社会は、その電池なしには成立しない。開発者たちに、ノーベル化学賞が贈られることになった▼その一人、ジョン・グッドイナフさんが研究を進めていた1970年代の後半は、石油ショックに世界が傷ついていた頃だ。エネルギー問題の解決のため、充電のできる高性能の電池が求められていた▼研究を肉付けし電池を生み出したのが旭化成の研究者、吉野彰(あきら)さんだった。ビデオカメラから自動車にまで及ぶ用途の広がりは、本人も予想外だったのではないか。「時代のニーズに応じることができたしあわせな開発でした」と、後に語っている(『仕事の話』)▼自然エネルギーを蓄電することへの期待も高まっている。「社会が化石燃料から脱却することを可能にする」というのが、賞が贈られる理由である。多くの科学者、それに技術者の試みが世界を前に進めている。
锂电池的力量
19世纪末,电动汽车已经出现在了伦敦街头。取代了公共马车的电动出租车,因其声音的特征被叫作“蜂鸟”。史蒂芬·普尔著《重新思考》中写到,电动汽车在巴黎和纽约很受欢迎。
虽然电动汽车噪音小,人们对它的期待大,但还是败给了燃油车。其中大规模的油田开发使得汽油价格下降也是原因之一。当时的电池,长距离的驾驶还是有局限的。
然后又过了100多年。使得现在电动汽车兴盛起来的便是锂电池。智能手机、笔记本电脑等现代社会,离不开电池。为此,决定授予锂电池开发者们诺贝尔化学奖。
约翰·B·古迪纳夫曾推进锂电池研究的20世纪70年代后半,那时正值石油危机给世界带来重创。为解决能源问题,开发出可充电的高性能电池迫在眉睫。
旭化成研究者吉野彰深化了约翰的研究,制造出了这样的电池。用途从摄像机普及到电动汽车,这大概连他本人也不会想到吧。后来他在《工作故事》中说到:“顺应时代的需求是幸福的开发”。
人们对从自然能源中蓄电抱有很大的期望。他的一句“社会摆脱化石能源将成为可能”便是授予他诺贝尔化学奖的原因。许多科学家和技术人员的尝试正推动着世界的前进。